2016年2月28日日曜日

2016年マイナス金利時代の金投資

年明けから急騰した金価格(対ドル)

私は2015年末にアメリカの利上げが始まったタイミングで金投資を開始しました。
しばらく塩漬けにする覚悟での投資開始でしたが、2016年は予想外のスピードでリスクオフが進み、金がドルに対して急騰しました。
2016年2月28日現在は先週末のアメリカのGDPや個人消費の底堅さが確認されたことから、いったん落ち着いたように見えます。(短期的に下落に戻る可能性があります。)
そこで2016年のこれから金投資を続ける理由について改めてまとめます。

対ドルで中長期的に金価格上昇を見込む理由

私が対ドルで中長期的に金価格上昇を見込む理由は4つあります。

ドル安による金価格上昇

現在アメリカ政府が懸念するほどにドル高が進んでおり、利上げを続けられたとしても大幅なドル高は進まず、むしろ利上げ休止か利下げに追い込まれた時のドル安の方が値幅が大きいと考えます。
また、最も安全とされる通貨は基軸通貨のドル、通貨の信用が下がる時に代替となるものが金であることから、ドルと金価格の逆相関の関係が古くから続いています。
したがってドル安になると金のドル価格は上昇することになります。

株価暴落による金価格暴騰の可能性

世界的な量的緩和にも関わらず世界経済の成長見通しが鈍化しているため、株式市場は暴落のリスクが無視できないほどに高まっています。
株価が暴落する時には避難先として国債と金が買われます。
それに加えて量的緩和バブルが限界に達して財政破綻のリスクが表面化した場合は国債も暴落するため、唯一の避難先として金は暴騰することになります。

産金コスト割れに近い金価格

主要な企業の産金コストは2015年時点で900ドル台前半程度であり、それ以下の価格帯は需要と供給の関係から長続きしそうにないと考えられます。

(http://www.mining.com/web/gold-miners-1200-cost-fallacy/より引用)
アメリカ経済が好調な今ドルに対して金の魅力は無く900ドル台まで下がるという予想も見られますが、長期的にはそんなに安くなったら買い場だと考えられるということです。
ただし企業努力によってコスト削減が進められているため今後900ドル以下に低下する可能性も否定できません。
産金コストを参考に投資する場合は"gold mining aisc"などのワードで検索して動向を掴んだ方が良さそうです。

マイナス金利政策に伴う相対的な金の魅力上昇

まず、長期リターンは株式>債券>金>ドルの順であることは長期投資家として認識しておくべきことです。
(正確に言うと金は実質リターンは無いがインフレ時に名目リターンがプラス、ドルは名目リターンも無いためインフレ時はマイナスリターン。)
(http://www.aaii.com/journal/article/real-returns-favor-holding-stocks.touchより引用)
しかし欧州と日本の量的緩和政策・マイナス金利政策によって国債利回りが下がり続け(=国債価格が上昇し続け)ています。
2016年2月26日時点で日本国債は10年ものもマイナス利回りに突入し、30年ものまで0.84%と超低金利です。
これからマイナス金利の利率が大きくなる場合は債券価格も上昇しますが、マイナス金利の拡大に長期の持続性が無いのならばそれはバブルです。
その避難先として金利が0である金の魅力が相対的に上昇した、と考えます。

私が金投資を行っている対象とその理由

GMOクリック証券の金スポット

対ドルで金を購入するため、GMOクリック証券の店頭CFDにて金スポットの売買を行っています。
2016年2月26日時点で手数料は往復で0.025%、コストは年利0.524%です。
為替ヘッジ無しの金ETFの信託報酬が年利0.39%~0.49%程度であることを考えると非常に割安であり長期投資にも向いている商品と言えます。
手数料が低いため短期的な値動きを狙って売買するのにも向いており、私は1200ドルを勢い良く超えたあたりでいったん利益確定し、今は再エントリーのタイミングを考えているところです。

金鉱株ETF (GDX, GDXJ)

金鉱株の価格上昇は採掘企業の収益に比例します。
採掘企業の収益はおおよそ(金価格 - 採掘コスト)ですから、採掘コストに近い価格になっている現在は金価格の上昇率以上に上がることになります。
今の価格帯だと2倍~3倍程度上昇しています。
NISAで買えるレバレッジ商品は大抵高コスト(長期で減価する商品)ですが、この金鉱株は信託報酬が0.5%程度と低コストであり、金価格の2~3倍動くということで個人的には最も魅力的なレバレッジ商品だと考えています。
金鉱株ETFも今年から購入したのですが2016年2月26日時点で30%超の含み益ができています。(もちろん下落もレバレッジがかかるためすぐに含み損に転換する可能性もあります。)
SBI証券で購入しているのでNISA口座であれば手数料無料ですが、売却手数料が3000円以上と高いためこちらは本当の暴騰が来るのを期待してひたすらホールド中です。

金地金

金地金のメリットは現物が手元にあるという強みと消費税増税の恩恵を受けられることです。
個人での取引の場合、消費税は購入時に支払い、売却時に受け取るため、売却時に消費税が上昇しているとその分だけ得をする仕組みになっています。
また、最近は金先物のロングポジションが金現物を大きく超えており、仮に皆が先物を現受けしようとした場合は現物が一瞬で枯渇する状態です。
そのような事態はテールリスクであり基本的には起こり得ないですが、資産防衛としては1つの良い選択だと思います。
デメリットはスプレッドが大きく主要な取扱業者の購入手数料が2016年2月26日時点で1.758%ほどであることと、自宅保管なら保管料は無料ですが高額になると盗難リスクが無視できなくなることです。
私は今年、日本マテリアルのインゴット100を購入しました。
100g単位の売買は500g以上の金地金に加えて手数料が余分に取られるのですが、インゴット100はその余分な手数料が無料なのがメリットです。

金ETF

中長期的にはドル高円安と言える今は対ドルで金を購入した方が良いと考えているため、金ETFは一切購入せず上記のGMOクリック証券の金スポットのみ購入しています。
特に最近の先進国首脳陣は最近の円安ドル高と通貨安競争リスクに対して懸念を表明しており、1ドル130円を超えるような円安は日本の財政危機が材料視でもされない限り起こりそうもない状況です。
そのため金ETFは、長期的に見てもある程度の円高が進んでから、購入を検討します。
購入するとしたら、現物との交換が可能な純金上場信託(現物国内保管型) (信託報酬0.49%) (1540) か信託報酬が0.39%と最安なETFS 金上場投信 (1672)を考えています。

2016年2月21日日曜日

短期金利がマイナスに転じて旨味の増す先物取引・CFD

無担保コール翌日物レートがマイナスに

2016年2月半ばに入り、とうとう無担保コール翌日物レートがマイナスになりました。
「国内銀行がマイナス金利取引に動く、無担保コール翌日物で (1) 」
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O2RP0V6JTSEI01.html
「無担保コールO/N物レート(2月19日<金>速報)」
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/mp160219.htm
くりっく株365は無担保コール翌日物レートがコストとしてかかりますが、それがとうとうマイナスに転じたことになります。
つまり普段かかっていたはずのコストで逆にお金が貰えるようになり、現物株を保有するよりもお得だというおかしな状況です。

くりっく株365は最大レバレッジ20~30倍、つまり現物株の数10分の1の資金から投資ができる取引所CFDです。

LIBOR日本円の3ヶ月物もマイナスに

先物取引における短期金利の1つの指標であるLIBORも3ヶ月物までマイナス金利に突入しています。
http://forex24.jp/libor/jpy/
02月19日
翌日物: -0.03271% 3ヶ月物: -0.00443% 6ヶ月物: 0.00043% 12ヶ月物: 0.07871%

先物取引やGMOクリック証券CFDなどの店頭CFDも金利コストが下がりそうで、これから観察したいと思います。
この先、マイナス金利がすぐに戻ることより現状維持か拡大する可能性の方がずっと高いはずですから、今後数年は先物・CFD取引の旨味が大きくなるのではないでしょうか。
実際にコストを示す数字が出始めたらまた記事にしたいと思います。

くりっく株365でNYダウが取引できるように

ところで2016年6月27日からくりっく株365でNYダウの取引が開始するようです。
「くりっく株365(取引所株価指数証拠金取引)「NYダウ証拠金取引」の上場について」
http://www.click365.jp/cfd/news/2016/info20160216_01.shtml
アメリカ株指数のCFDは(為替ヘッジされているため)これ以上のドル高は進まないと読む人にとってはドル建てとなる現物より狙い目な商品で、私もGMOクリック証券のCFDでS&P500のロングポジションを少量持っています。
ここに選択肢としてくりっく株365のNYダウが追加されるということで、まだ少し先の話ですが、こちらのコストも追って行きたいと思います。

2015年11月24日火曜日

GMOクリック証券CFDのコスト - S&P500

GMOクリック証券CFD「米国S500 (S&P500)」の実コスト履歴

ここ数年におけるS&P500の配当額と価格調整額の差からGMOクリック証券CFDの実コストを算出しました。
配当額はS&P500 divdend points indexから算出しています。

価格調整日 価格調整額 (円) 配当額 (ドル) ドル円 期近価額 取引単位 コスト (%) 年間コスト (%)
2015/09/17 1181 10.85 120.59 1960.00 1 0.0539 0.5039
2015/06/18 999 10.74 123.44 2,093.10 1 0.1265 0.5455
2015/03/19 934 10.56 121.32 2,050.40 1 0.1396 0.5399
2014/12/18 782 10.27 118.57 1,997.20 1 0.1840 0.5389
2014/09/18 858 9.89 107.33 1,984.70 1 0.0955 0.5284
2014/06/19 754 9.73 102.01 1,935.80 1 0.1208 0.5579
2014/03/20 708 9.54 101.27 1,839.90 1 0.1385 0.5962
2013/12/13 629 9.18 103.12 1775.05 1 0.1735 0.6298
2013/09/13 665 8.81 99.28 1688.80 1 0.1250 0.6744
2013/06/14 575 8.68 94.33 1624.50 1 0.1591 0.6197
2013/03/08 498 7.86 95.92 1549.75 1 0.1722 0.4842
2012/12/14 482 8.88 83.2 1415.25 1 0.2181 0.4267
2012/09/14 555 8.12 78.29 1466.25 1 0.0703 0.3222
2012/06/08 548 7.21 79.47 1329.45 1 0.0236
2012/03/09 478 7.37 82.47 1372.50 1 0.1147
2011/12/09 426 6.92 77.59 1259.25 1 0.1135
平均 692.0 9.0 99.3 1708.87 1 0.13 0.5360

ここ数年の年間平均コストは年利0.536%でした。
S&P500はくりっく株365での取り扱いは無い(指数の権利の問題から取り扱い予定も無い)ため、為替ヘッジつきの商品としては現在最安だと思われます。
2016/02/21追記: NYダウはくりっく株365で取扱が開始するようです。http://www.click365.jp/cfd/news/2016/info20160216_01.shtml

2015年11月16日月曜日

GMOクリック証券CFDのコスト - 日経平均とDAX

GMOクリック証券CFD「日本225 (日経平均)」の実コスト履歴

ここ数年における日経平均の配当額と価格調整額の差からGMOクリック証券CFDの実コストを算出しました。

配当額はくりっく株365の過去データを使用しています。
取引単位はGMOクリック証券が日経平均の価額の10倍、くりっく株365が100倍です。(そのため配当額はくりっく株365の数値を1/10にしています。)
コストは (配当額 - 価格調整額) / (期近価額 * 10) で計算した値と100倍にして%表示しています。
価格調整は年4回行われるため、年利計算では過去4回分のコストを合計した値としています。

発生日 価格調整額 配当額 期近価額 取引単位 コスト (%) 年間コスト (%)
2015/09/09 1070 1287.2 18216 10 0.1192 0.5811
2015/06/10 -10 184.9 20160 10 0.0967 0.6555
2015/03/11 760 1226.9 18781 10 0.2486 0.5898
2014/12/10 20 220.2 17167 10 0.1166 0.5861
2014/09/10 730 1038.4 15927 10 0.1936 0.5219
2014/06/11 90 136.2 14944 10 0.0309 0.5042
2014/03/02 780 1142.8 14811 10 0.2450 0.6035
2013/12/11 80 160.4 15330 10 0.0524 0.6881
2013/09/11 640 893.9 14435 10 0.1759 0.7076
2013/06/12 -50 119.3 13004.5 10 0.1302 0.6959
2013/03/06 590 987 12045.5 10 0.3296 0.5282
2012/12/12 80 149.5 9661 10 0.0719 0.5373
2012/09/12 680 826.3 8908 10 0.1642 0.5433
2012/06/06 130 97.5 8655.5 10 -0.0375
2012/03/07 640 965.7 9618 10 0.3386
2011/12/07 60 127.8 8696 10 0.0780
平均 393.1 597.8 13772.5 10 0.1471 0.5956

ここ数年間の平均コストは年利0.5956%でした。
純粋な短期金利よりは上乗せがあるようです。
価格調整額の元となる期近と期先の価格差は先物取引の裁定取引に依存しているはずなので、裁定取引にかかるコストがその程度だということでしょう。
それでも証拠金が購入金額の10分の1で済ませられると考えると随分安い利率と言えます。(価格が下落した場合は下落分=含み損だけ必要証拠金が増えます。)

GMOクリック証券CFD「ドイツ30 (DAX)」の実コスト履歴

DAXは配当込みの指数のため、価格調整額がそのままコストです。

発生日 価格調整額 ユーロ円 期近価額 取引単位 コスト 年間コスト
2015/09/17 -26 136.98 10194.10 0.1 -0.0186 0.4457
2015/06/18 104 139.86 11133.20 0.1 0.0668 0.4948
2015/03/19 374 128.63 11894.70 0.1 0.2444 0.5029
2014/12/18 220 145.98 9847.20 0.1 0.1530 0.4636
2014/09/18 42 140.46 9791.00 0.1 0.0305 0.4750
2014/06/19 104 138.7 10008.70 0.1 0.0749 0.5002
2014/03/20 269 141.19 9290.50 0.1 0.2051 0.4756
2013/12/19 219 142.4 9349.55 0.1 0.1645 0.4079
2013/09/19 65 134.34 8681.50 0.1 0.0557 0.3575
2013/06/20 51 128.32 7896.80 0.1 0.0503 0.3497
2013/03/14 138 124.85 8048.50 0.1 0.1373 0.3646
2012/12/20 98 111.74 7685.50 0.1 0.1141 0.4322
2012/09/20 36 101.48 7397.60 0.1 0.0480 0.3991
2012/06/14 40 99.87 6140.75 0.1 0.0652
2012/03/15 160 109.18 7152.30 0.1 0.2049
2011/12/15 47 101.31 5722.75 0.1 0.0811
平均 121.3 126.6 8764.67 0.1 0.1048 0.4361

平均は年利0.4361%と、日経平均よりも若干小さな値となっています。
また、CFDは差金決済取引であり証拠金も円で良いため全額為替ヘッジされる商品であり、現物の為替ヘッジコストを考えると非常に低コストな商品と言えるでしょう。
必要証拠金も日経平均と同じく購入金額の10分の1です。

注意点

日経平均とDAXのコスト自体はくりっく株365が最安だと考えられます。(コストは無担保コール翌日物と書かれており、年利0.075%程度です。)
しかし取引単位がGMOクリック証券の10倍になること、取扱商品数が(アメリカ株式指数やコモディティが無いなど)非常に少ないという欠点があります。
GMOクリック証券CFDとくりっく株365の比較についてはまた別の記事で取り上げる予定です。