CFDを利用すれば手数料と短期金利のみのコストで海外株を為替ヘッジ付きで取引できるため、投資信託・ETFと為替ヘッジの組合せよりも安くなるケースがあります。
CFDの場合はドルの商品ならドルで差益を直接得ることができます。(得たドルは基本的にその場で日本円に転換されます。)
したがって、その資産の通貨の短期金利が、その資産の投資信託・ETFの信託報酬+為替ヘッジコストよりも小さければCFDの方が得だということになります。
2015年現在のドルの短期金利の目安は年利0.3~035%程度です。
参考: LIBOR米ドル3ヶ月ものチャート http://www.bloomberg.co.jp/apps/cbuilder?T=jp09_&ticker1=US0003M%3AIND
またGMOクリック証券のS&P500の手数料は0.02%程度と無視できるレベルです。
これより安い為替ヘッジ付き投資信託・ETFはなかなか見当たりません。(為替ヘッジ無しであればこれを下回る外国株ファンドも出てきていますが、その場合は自分で別の資金を用意してFXで為替ヘッジを行う必要があり、資金効率が下がります。)
なぜCFDのコストが短期金利(3ヶ月もの)なのかについては以前の記事「株価指数先物・CFDの理論価格は?」を参照してください。
GMOクリック証券のCFDであれば、ダウ、S&P500、NASDAQ、上海A50、インドNIF、香港ハンセン、コモディティ(原油や金スポット)をドルで、DAXをユーロで、イギリスFTSE100をポンドで取引できます。
投資信託での為替ヘッジ
投資信託は実物資産ですので、その資産の購入価値分全てヘッジしなければなりません。
ドル資産であればその資産価値分、円に対してドルを売っておく必要があります。
具体例として、10,000ドルの商品(投資信託かETF)を1ドル120円の時に1単元(10,000ドル分)買った場合を考えてみます。
為替ヘッジをするにはこの時10,000ドル分ショートする必要があるので、1万通貨のドル円ショートポジションを持ちます。
その後、10,000ドルの商品が15,000ドルに上昇、一方でドル円は100円に下落したとします。
すると資産は15,000×100-10,000×120=300,000円の利益。
ドル円ショートポジションは、10,000×(120-100)=200,000円の利益。
為替ヘッジ無しだと円高になった分だけ利益が減って300,000円となります。
しかし為替ヘッジ(ドル円ショートの利益分)があることで合計500,000円の利益が出ています。
これは、15,000-10,000=5,000ドルの利益を利益確定時点の為替レートである100円で円転換して500,000円の利益とすることと同じです。
コストはその投資信託・ETFの信託報酬、FXの手数料、ドル円ショートのスワップ(2国間の金利差でプラスにもマイナスにもなり得ます)です。 為替ヘッジ付きの投資信託・ETFの場合は、為替ヘッジコスト込の信託報酬(通常為替ヘッジ無しの場合より高額)です。
CFDで為替ヘッジされる仕組み
CFDの中身は先物取引です。
先物取引は証拠金のみで取引可能な差金決済取引で、CFDも同様です。
したがってその仕組み上(証拠金分を除いて)自動で為替ヘッジされます。
そしてCFDの場合は証拠金が円のままで良いため、その証拠金分も全て為替ヘッジされることになります。
上の段落の具体例では、15,000-10,000=5,000ドルの利益が差金決済により得られ、それを(1ドル100円で)円転すると500,000円の利益となります。
為替ヘッジしたのと全く同じ利益になっていますね。
コストはCFDの取引手数料と(ドルの場合はドルの)短期金利です。
ただし、記事上部で書いたとおりGMOクリック証券CFDのS&P500は手数料が0.02%ほどと無視できるレベル、ドルの短期金利は2015年現在0.3~0.35%ほど(他の時期の値は記事上部のリンク参照)ですのでかなりの割安です。
このコストは短期金利が上昇していくほど大きくなっていきますが、円がゼロ金利のままであれば為替ヘッジコストも上昇するので、個人的な予想ではしばらくCFDの手法が割安だと考えています。
円の金利も上昇し始めたら再検討の必要(投資信託・ETF+為替ヘッジとのコスト比較のやり直し)は出てくるかもしれません。
CFDの隠れたコスト削減手法
CFDは証拠金取引のため、商品によりますが10倍程度のレバレッジをかけることができます。
言い換えると拘束される資金が投資信託などの実物資産と比べて大幅に減ります。
価格変動により拘束される資金も変動するため浮く資金は一定額ではありませんが、少なくとも半分は自由に使って問題ないレベルです。
その浮いた半分の資金を定期預金や個人向け国債に投入することでコスト削減が可能です。
年利0.2%の場合は、0.2×(1/2)=0.1%ほどコスト削減できることになります。
換金性の良いものであればもっとCFDから資金を引き出して少ない証拠金で攻めることもできます。(CFDの商品価格下落時など必要に応じて換金してCFDの口座に戻します。)
このように、CFDのコストははっきりとこれだと言えない代わりにいろいろな工夫の余地のある面白い商品です。
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