2016年7月4日月曜日

英EU離脱で始める低コストな貴金属投資

貴金属投資の動機

英EU離脱の影響で米国利上げ期待が遠のき日欧の追加緩和期待も相まって先進国の国債利回りが軒並み低下、金・銀・プラチナが急騰しています。
短期的には米国利上げ期待復活などによる乱高下も考えられますが、ドル高はもはや限界で貴金属は中長期的には上昇が期待できるという理由で買いを考えている人は多いかと思います。

3つの貴金属の違いと共通点

それぞれの金属の違いは大雑把に言って、金はリスクオフで強く銀とプラチナはリスクオンに強いです。
銀は産業用途が半分、プラチナはさらに比率が高く8割弱が産業用途でうち5割が自動車触媒、プラチナを使うディーゼル車は欧州に多いです。
最近プラチナが3つの貴金属の中で弱かったのは英EU離脱による欧州の景気後退懸念があったためです。
その分、金とプラチナの価格差が歴史的な大きさに拡大しており、長期投資では売られ過ぎのプラチナに妙味がありますが、中期では金・銀の方が安定していると言えるでしょう。
3つの貴金属に共通しているのは、ドル安とインフレの恩恵を受ける点で、アメリカの量的緩和再開や紙幣の信頼低下によるインフレを期待する人にとっては貴金属投資に優位性があります。

この記事の目的

この記事ではコストの安い貴金属投資を紹介します。 しかし金については既に『2016年マイナス金利時代の金投資』で紹介しましたので、今回は銀とプラチナの購入方法を紹介します。

GMOクリック証券の商品CFD

まず、短期売買に向いているのは取引時間が長くレバレッジもかけられるGMOクリック証券の商品CFDです。
金スポットについては上記の記事に書いたとおり、「2016年2月26日時点で手数料は往復で0.025%、コストは年利0.524%」と低コストで長期保有にも向いています。
しかし残念ながら銀とプラチナのコストは以下の通り小さくなく、長期保有にはあまり向いていません。

銀スポット

直近の価格: 20ドル
取引単位: 10倍
買いの金利調整額: -1円/日 (365円/年)
直近のドル円レート: 102.5円
年利: -(365/(200*102.5))*100 = -1.780%
往復手数料: 20ドルで0.015ドルのスプレッド = 0.75%

白金スポット

直近の価格: 1050ドル
取引単位: 1倍
買いの金利調整額: -5円/日 (1825円/年)
直近のドル円レート: 102.5円
年利: -(1825/(1050*102.5))*100 = -1.696%
往復手数料: 1000ドルで1.5ドルのスプレッド = 0.15%

もちろん取引時間とレバレッジは大きな利点ですので短期であれば十分に活用できます。
また、年利には為替ヘッジコストが含まれます。
以下に紹介するETFと現物ではドルに対する値動きで取引するには同額ドル円ショートのポジションを持つ必要があります。
ドル円ショートは今だと年利-0.6%程度取られます。
マネースクウェア・ジャパンが行っているスワップキャンペーンで年利-0.1%です。
とは言えそれでも長期でポジションを取る場合はETFや現物の方が安いようです。

国内貴金属ETF

国内最安は以下の2つですが、売買代金が小さく流動性が低いのが気になります。

  • ETFS 銀上場投信 (1673): 信託報酬0.49%
  • ETFS 白金上場投信 (1674): 信託報酬0.49%

私は売買代金の大きな以下2つのETFを選びます。

  • 純銀上場信託(現物国内保管型) (1542): 信託報酬0.59%
  • 純プラチナ上場信託(現物国内保管型) (1541): 信託報酬0.59%

ただしこれらは円価格での取引になりますのでドル価格で取引するには同額ドル円ショートが必要です。
これに年利-0.6%ほどかかるため、実際には年利-1.19%ほどのコストがかかる計算になります。
手数料については証券会社に依存しますが、松井証券であれば1日10万円以下の購入であれば手数料0円です。
私は松井証券で時間分散して純銀上場信託を積み立てています。
そしてマネースクウェア・ジャパンのスワップキャンペーンを利用して年利-0.1%でドル円ショートによる為替ヘッジをしています。

貴金属現物(地金)

手数料は割高な一方、保有コストが年利0なのが現物です。
銀は最低30kgが売買単位となり保管が困難なためここでは検討しませんが、プラチナは金と同様小さく保管が容易です。
日本マテリアルだと100g単位でも追加の手数料はかからず、スプレッドは買い3875 - 売り3746の3.44%です。
また、売買価格にはともに消費税がかかるため、消費税が上がると売却価格が上がり、増税利率分利益となります。
したがって数年~数十年の長期保有に適しています。

私も今年の冬に金地金とプラチナ地金を100gずつ購入しています。
ただし、ドル価格で保有したい場合は同額ドル円ショートが必要になることはETFと変わりません。
年利-0.6%のコストがかかります。)

ちなみに私は地金を数年以上長期保有するつもりなので、アメリカが量的緩和を再開し十分に円高になったと判断すればドル円ショートによる為替ヘッジは外す予定です。
その場合はもちろん保有コストは年利0に変化します。

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